高知県の長浜にある若宮八幡宮は土佐の長宗我部元親が
出陣の際に、戦勝祈願をした神社である。
だから若宮八幡宮には元親公が使ったものといわれる陣太鼓や
小文書などがあり、初陣式などの祭事も行われている。
最近、この神社が昭和60年に発行した長濱、浦戸、御畳瀬を中心に紹介した
「吾南の名勝」と題する本を読むことが出来た。
長宗我部の系図を整理していただいた寺石正路氏がこの本の
巻頭に次のように書いている。
「土佐国は四国の南部にありて、地勢は僻遠にありといえども、
幸いにして、山水奇絶にして、風趣に富むところが多く、
東に室戸あり、中に浦度湾あり、西に足摺岬あり、
この三大名勝は江山秀麗にして、ゆくゆく道路交通の開く
暁には、高知県の三大公園としてその勝名を海内に檀にするに
いたるは疑いなきところなるべし」
このように、寺石氏は3名所を位置づけていた。
そして、浦戸については、紀貫之が舟を止めたところであり、
元親の城があった場所でもあるので、土佐の風景と歴史
の両面で大切にすべき場所である、としている。
なるほど、この3地点を結んで、俯瞰してみると、
なるほど土佐が一段と美しくみえてくるから不思議である。